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老子−9 [老子]

老子 第九章

持而盈之、不如其已。揣而鋭之、不可長保。金玉満堂、莫之能守。富貴而驕、自遺其咎。功遂身退、天之道載。 

 

 器を満したまま両手で持ち続けよう、などということは止めたほうがいい。剣の先端を尖らせれば尖らせるほど長く保つことはできません。金銀財宝を蓄えれば蓄えるほど、守り続けることは困難になる。名声に溺れてしまえば、かえって不名誉を残すことになる。君主としてやるべきことができたならば、直ぐにでも身を引いてしまうのが真の君主であり「道」に従っている。

 

 いつ失われるかも知れない権力に執着し続けるなら、最初から権力を手中にすることなどやめたほうが良い。力によって政権を維持しようとしても、力を誇示すればするほど危うい政権運営になり長続きはしません。金銀財宝を貯えても、却って人目につくようになり守り続けることはできません。君主が自らの地位・権力・財力に溺れるのなら、後世に自らの恥をさらすようなものです。君主としてやるべきことをやったのなら潔く身を退くのが真の君主として「道」を全うしたと言えます。

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  自身も思うようにならないのですが、権力によって他人を自在に動かすことができるとうのは自身がスーパーマンになったような気分になるのでしょうか。だれもが権力に連綿とするようです。いつの時代でもどこの国でも権力者は同じ行動をとるようです。人間の本性を表現した「どこのカラスも黒さは変わらぬ」という諺を思い出しました。

 引き際を間違うと権力に溺れた人とされ、潔い人であれば賢い宰相であったと評価されるようです。君主の問題であって、一般人の我々が考えても始まらないことですが・・。


之:君主の地位や権力

盈:みちる。みたす。あふれる。

不如:良くはない、薦められない。

已:やむ。やめる。

揣:こころみる/はかる/おしはかる/推量

鋭:勢いがある・こと・武力

堂:神仏を祭ったり、人が多く集まったりする大きな建物

驕:おごる。おごりたかぶる。いばる。

遺:のこす。のこる。

咎:とが。罪。あやまち。

 

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>


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