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対立概念 [気づき]

 概念は実体がないにもかかわらず、大事なことのように扱われています。その実体のない何かに振り回されているのが我々の実状かもしれません。ある国のリーダーは、自らの価値観によって戦争を起こします。両国で多くの犠牲が生じているにもかかわらず正当化しています。ある人の意味や価値が全員に受け入れられるわけではありません。

 正義の反対は悪ではなく、対立する正義ということになります。宗教戦争では、お互いの正義を旗頭にして戦います。お互いに悪いとは思っていないので凄惨な戦いとなります。国の戦いでは愛国心を持ち出します。愛国心とは裏返せば相手国に対して嫌国心を起こせということになります。自国を愛するということは他国を打ち負かすことに他なりません。

 頭の中にある概念に触れることも出来なければ取り出すことも出来ません。他人の頭の中にある言葉を見ることはできません。誰が何を思い何に迷っているかなどサッパリ分かりません。脳で使われるエネルギーの60〜80%は「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれるどうでもいい雑念に使われているそうです。日中にどうでもいい雑念に脳が使われて疲弊することになります。脳はリフレッシュしなくてはなりません。夜になると五感を遮断して脳を休めなくてはなりません。どうしても睡眠が必要とされるようです。

 

 仏教での「我」は「生滅変化を 離れた永遠不滅の存在とされる本体といわれるもの」です。多分人間だけが使っている概念は、必ずと言っていいほど反対概念と対になっています。「有る」ということは「無い」という概念があることで成り立っています。「無い」という概念があるというのもおかしなことですが、「無い」ということがあると定義しています。空気が「有る」ということは空気が「無い」ということが前提となって使われます。この世で変化しないものはありません。電子が変化しなければ電気として使われることはありません。変化変容することでエネルギーとして使われることになります。宇宙という固定した何かではなく、変化し続けているプロセスが宇宙。恒常不変という概念がありますが、諸行無常である宇宙にあって恒常不変なモノは無いということになります。

 ”無我(勝手な働き)なるものは、わが所有にあらず、わが我にあらず、またわが本体にあらず。(阿含経)”

 勝手な分別に振り回されることが苦をもたらしていると気づかないことが無明かもしれません。本来の自己(=意識)を分からずに、何とかしようとしている思いを「自己」に振り回されていることが無明。

 一切が変化しているので見えたり聞こえたり感受することができます。空気中を伝わる音の波によって音として認識されます。意図的に見聞覚知している人などいません。誰もが無我無心(=勝手)に聞こえているし見えているということになります。無我になろうとしているのが厄介な「自己」です。この何とかしようと頑張っているのが苦悩の根源である「自己」ということです。

 

 人間が感受している情報量の80%が眼からの情報と言われています。眼によって知るということは、眼によって惑わされているとも言えます。知るということも迷うということも、同じコインの両面(裏表)でのことです。知らないから迷う、迷うからこそ知りたいと頑張ります。不味いと感じるからこそ、美味しいと感じます。不味いおかげで美味しいを味わえます。調子はずれの歌のおかげでプロの歌を聞きたいということです。

 

 分別によって苦悩を作って自縄自縛になっていることに気づかないことが無明。一々の分別に振り回されずに放っておくしかない。沸き起こった思いは必ず滅するので構わない。「無い」という概念によって実在という概念があります。「私・自分」があるという概念が成り立っているということは、「私・自分」というのが単なる概念であって「私・自分」の実在が無いという証明となります。

 

 「私・自分」が見聞覚知しているのではなく、五感が勝手に働いています。見えていることと見ているということはちょっとニュアンスが異なります。顕微鏡や望遠鏡を使えば見えるにもかかわらず、見えるものしか見えていないのです。見たくなくても見えるし、見たくても見えていません。眼が認識したことを、所有物として捨てることもできないし、他人に分け与えることも出来ません。

 「見えている」段階では主客未分の状態であり見る者と見られるモノという分離はありません。見ようとしてみている主体もないし、見られる客体というモノもありません。反射した光の波長は勝手に像として見えてしまっています。

 「見ている」という段階では眼識が働き、二項対立のフィルターを通して分別されます。見られるモノがどういうモノなのかを瞬時に判別します。この判別にこだわり執着することで振り回され迷うことになります。取り合わずに放っておけば消え去りますが・・・。

 

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>

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