SSブログ

自己をならふなり [気づき]

 私達は言葉によって迷うこともあれば、分かること(=No Problem)もあります。迷わないということは問題にならない問題にしないことではないでしょうか。幼少期の子供はいたずらに迷うことなく生活しています。比較を持ち出して”なんとかしよう”という我の働きが未だ完成されていなからではないでしょうか。

 言語は二項対立であり迷いを起こします。言語を覚え使う以前では迷うことは出来ません。本来はそれぞれが一つのものであり、比較しなければ”あるがまま”があるだけです。比較することで、長短・美醜・善悪・・・によって迷うことになります。

 刹那の一瞬一瞬が生じては消え去っています。つかむことの出来ない”たった今”という瞬間はあるようでありません。あると思った瞬間に”たった今”は消え去っていますが、消え去った瞬間に新たな”たった今”がありこの”たった今”が永遠に続いています。あるようでなく、ないようであるというのが”たった今”です。変化は止まることがなく”諸行無常”です。たった一回きりの”たった今”が永遠に続いています。あらゆるものは必ず滅します。「諸行無常、是生滅法、生滅滅已、寂滅為楽」

 已:やむ、終了する。生滅滅已:生滅を滅し已(おわ)る。比較することがないなら、迷いが終わる。

 己:象形文字であり縄の形状。縄で括られた対象。

思考に括られて縛られた対象である自らを「自己」としているのではないでしょうか。

他己:自己以外の対象。対象として捉えて縛られたモノや事象。対象とされる一切は言葉によって表現される。

 

「仏道をならふといふは、自己をならふなり。自己をならふというは、自己をわするるなり。自己をわするるといふは、萬法に証せらるるなり萬法に証せらるるといふは、自己の身心および他己の身心をして脱落せしむるなり。」

 「本来の自己」(=働いている意識)は、主体であり対象となりません。自己(=私)は対象となるので「本来の自己」ではありません。自己が何かを知らなければなりません。この自己は思考した後に主体として呼んでいます。常に後づけされているのが自己と呼ばれています。自己が思考の主体であれば思考以前に自己が存在していなければなりません。荷車(=思考)の前に牛(=自己)がいなければなりませんが、実際は荷車の後に牛を配置しています。

 もし自己が思考する主体であれば、思考を自由自在に操ることができるはずです。一時間の間一切の思いを出さないように思考に命じることができるでしょうか。眼は見たくなくても見えます、音は聞きたくなくても聞こえます。思考は考えたくなくても考えてしまいます。それは「無位の真人」(=働いている意識)であり、無分別であり一切が自然に受け入れられてる。

 比較して”何とかしよう”という思考そのものが「自己」の本体であると気づかなければなりません。思考は、危険から身を守り生存したいという欲求によって作られた自己防衛機能です。自己は本体(=本来の自己)ではなく、自己防衛機能として都合よく出現させることができます。これが自己の実体であるというものは見つけ出すことも指し示すこともできません。ただの呼称であり実体はありません。

 <自己をわするるなり>

 比較によって”なんとかしたい”と思考します。”なんとかしたい”という思考そのものが「自己」です。「自己」が思考しているのではなく、思考している主体を「自己」としているのではないでしょうか。”なんとかしたい”思考そのものが「自己」なのに、「自己」が思考をコントロールできるでしょうか。”なんとかしたい”に手をつけない。ただ”何とかしたい”に気づいているだけにしてみる。

<萬法に証せらるるなり>

 「本来の自己」がきづいている自己と自己以外の対象である他己。「本来の自己」は見えたと認識する前に見えている(=認知)し、聞こえたと認識する前に聞こえています。思いに気づいているのが「本来の自己」であり、思いが「本来の自己」ではありません。気づかれる対象は主体そのものではありません。何かを分かろうとする以前にすでに認知されています。一切を対象として説明しようがしまいが、一切はあるがままである。

<自己の身心および他己の身心をして脱落せしむるなり>

「自己」自分という対象、「他己」自分以外という対象であると認知する以前。自分以外を認知しているのは自分であって、その自分が自分以外を認知しています。自分も自分以外も自分の中にあります。自分以外として認知している対象を「他己」と呼んでいるのでしょうか。私達は身心が自分自身だとしていますが、身心も見られる対象であり「本来の自己」ではありません。自己の身心は働きです。自分が認識している自分以外(=他己)も自分の中にあります。自分と自分以外を対象としなければすでに「脱落している」。

 

 

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>


nice!(25)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 25

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
無分別非風非旗 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。