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バーヒヤ経 [気づき]

「バーヒヤさん、それでは、ここに、このように、あなたは学ぶべきです。

『見られたものにおいては、見られたもののみが有るであろう。

聞かれたものにおいては、聞かれたもののみが有るであろう。

思われたものにおいては、思われたもののみが有るであろう。

識られたものにおいては、識られたもののみが有るであろう』と。

 

バーヒヤさん、まさに、このように、あなたは学ぶべきです。

バーヒヤさん、まさに、あなたにとって、

見られたものにおいては、見られたもののみが有るであろうことから、

聞かれたものにおいては、聞かれたもののみが有るであろうことから、

思われたものにおいては、思われたもののみが有るであろうことから、

識られたものにおいては、識られたもののみが有るであろうことから、

バーヒヤさん、それですから、あなたは、それとともにいないのです。

 

バーヒヤさん、あなたが、それとともにいないことから、バーヒヤさん、それですから、あなたは、そこにいないのです。

 

バーヒヤさん、あなたが、そこにいないことから、バーヒヤさん、それですから、あなたは、まさしく、この〔世〕になく、あの〔世〕になく、両者の中間において〔存在し〕ないのです。これこそは、苦しみの終極“おわり”です」と。

 

 そこで、まさに、樹皮行者のバーヒヤですが、世尊の、この簡略なる法(教え)の説示によって、まさしく、ただちに、〔何ものをも〕執取せずして、心は、諸々の煩悩から解脱しました。

 

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「主なくて見聞覚知する人をいき仏とはこれをいふなり」至道無難

 

 眼はただ光が通過するだけで、眼自体が好き嫌いを判断することはありません。眼識はただ色を認識するだけです。見る者としての我(=末那識)によって、見られるモノ(=対象)を二元対立に分けて(=分別)好き嫌いを判別してしまいます。好きなものに執着し嫌いなものを排除したり避けたいが、我の思うようになりません。「愛別離苦・怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦」となります。色(=光の周波数)に良いも悪いもありません。

 耳はただ音が通過するだけで、耳自体が好き嫌いを判断することはありません。耳識は音を認識するだけです。聞く者としての我(=末那識)によって、聞かれるモノ(=対象)を二元対立に分けて(=分別)好き嫌いを判別してしまいます。音(=空気中を伝わる振動)に良いも悪いもありません。

 勝手に思い浮かんでくることを追いかけなければ、思いは勝手に消えてしまいます。”何とかしたい”・”解決したい”と、我(=末那識)を働かせてしまうと苦悩となります。

 認識されたものは、ただ認識されただけです。存在は認識する人がいてその人の経験・アイデンティティ(=フィルター)によって異なってとらえられます。存在と認識する人の縁(=接触)によって現象としてとらえられます。認識している心が働いていなければ、その他の存在はありません。今見ているディスプレイの文字が認識されるだけで、ディスプレイの向こうに誰かが存在しているわけではありません。「たった今」認識されている存在がすべてであり、認識されていなければただの想像であって実体はありません。記憶やイメージとしての存在があったとしても、諸行無常であり変化変容しつづけていて恒常不変の確固たる実体はありません。

 認識している心も変化変容して同じではなく、恒常不変な心というものはありません。心は、実体のないその時その時の縁によって生滅している幻のようなものかもしれません。

 対象としている存在・事象も人それぞれの主観であって、過去の記憶となっていつかは消え去ってしまいます。「空」であって実体のないものです。

 

<バーヒヤさん、あなたが、それとともにいないことから、バーヒヤさん、それですから、あなたは、そこにいないのです。>

 見えている聞こえているという働きがあって、誰かが意図的に見たり聞いたりという見聞覚知しているわけではありません。もし見ているというのならより鮮明に見えるようにしたり、おぞましい光景を眼にしたときに自動的にモザイクがかかるようにできてもいいのですが・・・。私達は、聞きたくない金切り声をソフトに聞こえるようにすることもできません。五感で感受しているその瞬間には、”あるがまま”に受けとっています。操作している「私」はみつかりません。”自分かわいい”という我が”どうしよう・なんとかしよう”と頑張ることで苦しみとなります。無分別に感受された後に、我(=末那識)によって分別が起こって執着したり忌避すると混乱・葛藤となります。すでに見終わっているし、聞き終わっているし、思い終わっているし、認識し終わっています。ありもしない事象を取り扱っているかもしれません。

 

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>


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