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老子−76 [老子]

人之生也柔弱、其死也堅強。萬物草木之生也柔脆、其死也枯槁。故堅強者死之徒、柔弱者生之徒。是以兵強則不勝、木強則折。強大處下、柔弱處上。

 

 人は柔らかで弱い存在として生まれ、堅く硬直して死んでいく。万物も草木も生きていれば柔らかで弱々しい、死ぬときには生気がなくなり枯れて乾燥する。頑強な者はむなしく死んでいき、柔らかで弱い者は生きていく。兵を強くすれば勝ち続けることはできず、木が硬ければ折れてしまう。強大になればいつかは地面の下になり、柔軟で弱ければ地面の上にいられる。

 

<他の翻訳例>

 人が生まれるときには柔らかで弱々しく、死ぬときには堅くてこわばっている。草や木が生きているあいだは柔らかでしなやかであり、死んだときは、くだけやすくかわいている。だから、堅くてこわばっているのは死の仲間であり、柔らかで弱々しいのが生の仲間である。それゆえに武器があまりに強(かた)ければ勝つことがないであろうし、強(かた)い質の木は折れる。強(かた)くて大きなもの(たとえば木の幹)は下にあり、柔らかで弱いもの(たとえば枝や葉)が高いところにある。

「世界の名著 小川環樹 訳 中央公論社」小川環樹:京都大学名誉教授 中国文学者

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 柔らかであれば強い風でも折れることはありません。強固にするということは何かに立ち向かおうとしています。敵を想定して敵に負けないように自らを守ろうとするのでしょうか。強くなれば誇示したくなり、次には兵刃を交えたくなります。戦えばお互いに傷つき多くの犠牲が生じることは明白です。分かっていながら止められない。

 2足歩行で両手が使えるようになった人間は、他の動物の食べ残しから骨髄を得るために石を使って骨を砕いたと推測されるそうです。骨髄は栄養があって脳が発達し手も使えるようになった。言語を発明しコミュニケーションをとり集団で狩猟するようになったかもしれません。槍・弓・ナイフ・火・・・調理したり保存することができるようになっていった。

 人間は社会を形成し、人間を脅かす動物から隔離されて生きています。今や人間を脅かすのは人間だけになりました。人間を悩ます問題は人間自身が作り出しています。どのように人間とつき合って生きるか、自分自身とどう向き合っていくかということに焦点が当てられています。今よりも過去や未来を考えられるようになり、悩むことが多くなっているようです。

 

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>


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