SSブログ

老子ー3 [老子]

 2千数百年前に孔子に対抗すたために書かれた道教の君主論かもしれません。2千数百年後の我々に向けて書かれてものでないことは明らかです。2千数百年経っても人間の人体機能や心は劇的には進化していないようです。私達の社会生活や環境から導きだされた哲学や思想を2千数百年後の人が重宝しているでしょうか。現代の私達の著書を2千数百年後の人が優れた著書としているとすれば、残念で嘆かわしい気がしないでもありません。未来の人類の精神はいつまでもたっても過去の資産を破棄するほどには変革されていないのでしょうか。

 いつまでも◯◯教に束縛され抜け出せていなければ精神的な進歩は遅々としたものでしかないということのようです。◯◯教の◯◯教祖と今現在生きている自分自身とどちらがリアルな主役でしょうか。「自灯明」であって自らが答えを見つけることが本筋です。誰々が◯◯を言っていたとしてもその人の生い立ちや経験で出てきた言葉であって、誰にでも当てはまる言葉ではないようです。

「仏道をならふというふは、自己をならふなり。

 

 古典には語り継がれるべき価値があり今こうして読むことができます。時代や環境がすっかり消滅しても言葉は変わることがありません。言葉は変化しないようです。数千年前の「山」が風化や人為的によって元の姿とかけ離れた姿になったとしても、「山」という文字で表現されます。「山」を表現する言葉・文字は「山」しかありません。変わることなく永遠性があるように扱われます。これから数千年を経ようが「山」を表現するのに「谷」を使うことはありません。

 2千年前に存在していた人民と現在の人民は全く異なった人民ですが、言葉では同じ「人民」としてしか表現されません。人民という言葉は2千年前も現代でも変わらずに使われます。しかし、2千年前に存在していた人民と現代の人民とは全く異なっています。文字で「人民」とありますが、2千年前の人民の姿や生活は想像すらできません。2千年前のそれも他国の文字から推測するのは非常に無責任です。言わんとしている雰囲気が分かればいいのかもしれません。書かれている内容について勝手に推測している未来人をどのように思うでしょうか。妄想もいい加減にしろと嘆くこと間違いありません。

----

第三章

不尚賢、使民不爭。不貴難得之貨、使民不為盗。不見可欲、使民心不亂。是以聖人之治、虚其心、実其腹、弱其志、強其骨、常使民無知無欲使夫知者不敢為也、為無為、則無不治不尚賢、使民不爭。不貴難得之貨、使民不為盗。不見可欲、使民心不亂。

-----

賢い者に力を与えなければ、臣下や民は競い合うことはない。
君主が財を得ることや賢者を貴ぶことがなければ、臣下や民は盗みや不正をすることはない。
欲望を刺激するものを見せなければ、臣下や民の心は平静であり乱されない。

 よって聖人(=道教の推奨する君主)の治めるべきは、人々の心を煩わせず、腹を空かせさせず、臣下の野心を鎮め人民の欲心を弱め、身体増強させ、常に臣下と人民を小賢しくさせず、欲心に惑わされず暮らせるようにする。
 無をなせば「無」に治まる。

治めようとしなくても自ら治まり賢くなろうということもなくなる。

臣下も人民も争うことはない。

財貨を得ることも自ら尊くなることはない。

臣下も人民も盗むことはなく。欲心を起こすこともない。

臣下も人民も心が乱れることはない。

----

 賢者とは孔子のように君主に機嫌取りをするような人たちのことを言っているのでしょうか。国を治めるのに孔子の勢力台頭を牽制し批判しているかのように思われます。賢者(=孔子)が中枢に入り込むこは、人心を乱すことになると警告しているようです。

 欲望を刺激するものを見せることは、こと更に心を乱すものである。知らなければ知らないで何事もないのですが、これを持てば便利になるだとかあるものを見ることで心が満たされるとか、心の情動を揺さぶることはいつの世でもあった。人の心の性向はおいそれと変わることがないようです。

 食べることに困ることなく、人々の心身が健全でるようにする。欲心に振り回されないように暮らせるようにする。(恒産なくして恒心なし 孟子)

 臣下と人民に自らが何かを為そうとする欲心が掻き立てられることで人心が乱されないようにする。君主は臣下や人民に干渉したり規制することなく自然に治世できているようにする。(為無為)

 臣下は自らの仕事に専念し、人民は欲心なく日々の生活を全うする。人民は欲望を満たすために財貨を得ようすることはなくなり、争うこともなくなります。

 欲望を掻き立てるようなものを見せなければ、臣下も人民も心が乱れることがなくなります。

 

 文字も読むことができず学のない当時の人民のための書ではなさそうです。あくまでも教養があり理解力を持ち合わせるべき君主に向けた指南書のようです。現代人が我が身に鑑みて鵜呑みにするような内容ではないと思われます。

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>




nice!(49)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 49

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
何もしない人老子ー4 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。