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老子−46 [老子]

天下有道、却走馬以糞、天下無道、戎馬生於郊。罪莫大於可欲、禍莫大於不知足、咎莫惨於欲得。故知足之足、常足矣。

 

却:退く

糞:肥やし

戎馬:軍馬、戦で使われる馬

郊:都市の周辺

禍:わざわい

咎:あやまち

惨:いたましい、みじめ

 

 統治下で恣意的でない”道”の統治が行われている時は、足の速い馬より農耕用の馬の方が重宝される。統治下で恣意的で”道”に従っていない統治が行われている時は、統治下の近郊で軍馬が必要とされる。(戦争の準備が必要となる)

 大きな罪が生まれるのは欲があるからであり、大きなわざわいは足るを知らないからである。欲を満たすモノを手に入れようと欲することほ、いたましいことは無い。だから足るを知ることで満たされ、常に満足していられる。

 

<他の翻訳例>

 天下に「道」が行われるとき、足の速い馬は追いやられて畑を耕すのに使われる。天下に「道」が行われないとき、軍馬が都市の城壁のそばにまで増殖する。欲望が多すぎることほど大きな罪悪はなく、満足することを知らないことほど大きな災いはなく、(他人のもちものを)ほしがることほど大きな不幸はない。ゆえに(かろうじて)足りたと思うことで満足できるものは、いつでもじゅうぶんなのである。

「世界の名著 小川環樹 訳 中央公論社」小川環樹:京都大学名誉教授 中国文学者

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 生命には生命の働き(=道)に従っています。生き続けていることで生命と言われる所以です。受精せずに分裂(=コピー)する「無性生殖」と受精による「有性生殖」とに分かれています。生殖様式にも卵生と胎生があります。また昆虫では、卵・幼虫・さなぎ・成虫へと変化する変態という形があります。生命の多様性には生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性があります。生命は模索を重ねながら自らは変化を受け入れて生き続けています。ヒト以外の生命体は生殖が終われば役目を終えて生命体という個体は”死”によって分解消滅します。

 ヒトは生態系だけ環境から農耕・文化・道具・言語によって社会を形成してた生命体と生きています。ヒトという生命体は生殖を終えても”余生”というものを生きています。未熟なままで生まれてくる”子孫”を世話できる家系が存続することができます。存続できる家系だけが遺伝子を次代へ繋げることができたようです。余裕があり援助ができる組織が生き残れたのでしょうか。

 生命体は「自分かわいい」が最優先であり、自らを保身するために攻撃性がなくなることはないのではないでしょうか。生命体同士は弱肉強食の世界であり争いがなくなることはありません。生態系の中で自らの遺伝子を残したいというのが本能として備わっています。

 今生き続けている生命体は最強の遺伝子を持った個体だということでしょうか。

 

 地球上の生態系の中での生命体を見れば、あらゆる現象は必然的な道理で起こっています。個々の生命体を善悪・罪・災いも・称賛・・・・という人間的思考で分別すべきことではないかもしれません。捕食者は自らの生命を維持し生殖して子孫を残さなければなりません。かわいい小動物を食べることが罪となるでしょうか。満腹になればそれ以上狩りはしないようです。ヒトは欠乏感や比較によって”足りない”という感覚があり、必要以上のモノを欲して苦しむことになるのでしょうか。

 

<注:勝手な個人的な見解の部分がありますので、鵜呑みにせずに実証実験によって確証することをお願いいたします。引用もしくは酷似表現の場合は、タイトル及びアドレスの明記をお願いいたします。>


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